6月の作品テーマ『七夕の舟』作品名:七夕の舟②

豪と里子は深い愛で結ばれた夫婦だった。
彼は牛を飼い 彼女は機(はた)を織り
幸せに暮らしていた。
しかし四十年前
里子は重い病を患い
今まさに命の灯が消えようとしていた。
「豪、どうか悲しませないで
 私は死んでゆくのではありません
 天空の神様に命じられ
 天(アマ)の和妙(ニギタエ)の衣を
 織りにいくのです
 七夕の夜 いちどきり
 お暇を頂き
 あなたにお会いすることが
 できましょう」
豪の腕の中で里子はゆっくり目を閉じた

6月の作品テーマ『七夕の舟』作品名:七夕の舟①

6月の作品テーマ『七夕の舟』作品名:七夕の舟③

関連記事

  1. 6月の作品テーマ『七夕の舟』作品名:七夕の舟④

    「里子 里子 遅くなってすまなかった ようやく逢…

  2. 6月の作品テーマ『七夕の舟』プロローグ:「たなば…

    ささのはさらさらのきばにゆれるおほしさまきらきら…

  3. 6月の作品テーマ『七夕の舟』作品名:七夕の舟⑤

    おじいさんおじいさん眠っているの?なんてうれ…

  4. 6月の作品テーマ『七夕の舟』作品名:七夕の舟①

    「ようやく舟の完成じゃ。 七夕の天空を 里子(さ…

  5. 6月の作品テーマ『七夕の舟』作品名:七夕の舟③

    今宵、七夕。澄みわたる夜空わしはずっと信じていた…

カテゴリー

PAGE TOP