◆ものがたり
五月のある日、
西日本のとあるところでのお話。
その地方には、太古の昔から山肌に大小いくつもの鍾乳洞の洞窟が点在している。
乳白色の鍾乳洞がまるで生き物の歯のように口をあけて不思議の国へと誘っていた。
四人の子供たちは、いよいよ冒険を決行する。水筒・懐中電灯・食料・方位磁石を携えて、子供たちの背丈でやっと入れる洞窟へと侵入する。奥深い洞窟はしだいに冷気を増し、上からは白いつららが幾重にも重なり、足元にはまた白い宇宙の生き物のような岩が奇妙な形をして折り重なっている。
子供たちは勇敢に進んでゆくと、急に中は広がって、まんまんと水をたたえる蒼く透明な池が出現する。
真白い目のない魚がスイスイと泳いでいる。
その向こうに古い古い縄ばしごを発見。縄ばしごは、はるか上方まで続いていて、そこからは光がわずかに差し込んでいる。子供の一人が登りはじめた。
方位磁石を見るとどうも山城の城跡の地下付近まで来ているようだった。
みんなも続々とあとに続く。
四人は縄ばしごをずんずんずんずん登っていくと、ようやく明るい地上に出た。
そこには城跡ではなく、なんと本物のお城が建っていたのだ。
四人は時を遡って江戸時代にやって来たのだ。
モミの木がやってきた
クリスマスの森からやってきた
羊飼いが見つけた
聖夜の星をつけましょう
トナカイが駆けてゆく
粉雪をかけましょう
神様の祝福がありますように
大きな真っ赤なリボンを結びます