あれ ぼく
薄くなっていく
軽くなっていく
これで おしまいなの?
しずく坊やは 空を水色に
にじませて 消えてゆく
鯉は叫ぶ
また 幾度でも お供するよ!
お前の旅に
名前もなく
記憶もなく
いつか山に新しいしずくとして
生まれてきても きっと
<ものがたり>
海の上で たくさんの雲が出来、
山に運ばれ 雨を降らす。たくさんの水を抱いた山は、
また 命の水を 噴き出していく。
水は流れとなり、川となり、
あらゆる生命を育む。しずく坊やは またきっと生まれてくる。
誰も皆 忘れない。「しずく坊や しずく坊や」
また 子どもたちが 大きく手を振るよ。